シンプルに柔軟に判断しよう!インボイス制度への対応の仕方

令和5年10月から始まるインボイス制度は、現在非課税事業者である個人事業主に大きな影響を及ぼします。

インボイスを発行するために課税事業者になるか、またはインボイスを発行しない非課税事業者のままでいるかを選択しなければならないからです。

課税事業者になると今までは免除されていた消費税を納める必要があります。

また今まで発行してきた請求書や領収書の書式にも手を加える必要があります。

インボイス制度の開始で相手(売り上げ先)とあなたのビジネスにどのような影響があるのかを見極めたうえで、課税事業者になるべきかを判断しましょう。

その場合には次の3つのステップで考えると良いでしょう。

売上げ先はどこなのか

まず第一に、あなたの商品(またはサービス)の売り上げ先がどこなのかということです。

もし商品(またはサービス)の売り上げ先が消費者であれば、インボイスは全く関係ありません。

同じようにあなたも免税事業者、売上げ先も免税事業者であればインボイスは要らないのです。

問題になってくるのは、売上げ先が課税事業者の場合です。

課税事業者があなたのところから商品を仕入れた時に、(売り上げ先の立場からすると)消費税の計算でインボイスを発行してもらえないとなると問題が起こるのです。

ですから、まずはあなたのビジネスで売り上げ先がどこなのかをチェックしましょう。

相手先が消費者なのか、免税事業者なのか、課税事業者なのかを見極めるのが大切です。

売上げ先が課税事業者である場合

もし売上げ先が課税事業者ならば、(売り上げ先にとって)消費税の計算のためにインボイスが必要になります。

あなたが非課税事業者ならば、インボイスを発行できないので、仕入れ税額控除ができないために消費税の納付税額が大きくなってしまいます。

そうなると今後の取引にも大きな影響が出てきます。最悪の場合には、売上げ先からあなたのところからは買わない、仕入れを見直すという話が出てくるかもしれません。

そうならないためにも、売上げ先と話をして売価に一定の減額を施すなど、相手の負担を減らすような取引内容に調整できないか考えてみると良いでしょう。

もしあなたのビジネスの大部分が消費者相手であり、課税事業者への売上が少ない場合にはこのような方法も良いと思います。

売上げ先が特別な課税事業者である場合

売上げ先が課税事業者であってもインボイス制度が影響しないケースもあります。

それは消費税の計算を簡単にする「簡易課税制度」を選択している課税事業者の場合です。

このような事業者は、消費税を納めるときに「簡易課税制度」により業種ごとの一定の割合で消費税を計算する事業者です。

このような事業者が消費税を計算するときには、売上げの消費税額に利率をかけて税額を出しますので、仕入れ先からのインボイスは不要になります。

もし売り上げ先がこのような事業者の場合には、インボイスが必要ありませんので、あなたが非課税事業者であっても問題はないのです。

売上げ先の見極めとビジネスの内容から判断する

このようにあなたのビジネスにおいて売上げ先がどこなのかを判断することが極めて重要です。

売上げ先が消費者であるか、免税事業者であるか、課税事業者であるかでインボイス制度への対応が異なります。

そのうえでインボイスを発行しなければいけない課税事業者との取引に、インボイスを発行する代わりに何らかの対応ができないかの工夫が必要になるでしょう。

またあなたが課税事業者になった場合には、消費税の納付はもとより、従来の請求書などの書式からインボイス用の書式に変更するなどの手間もかかってきます。

売上先の見極めとともに相手への負担と自分のビジネスの負担も考えたうえで、インボイス制度への対応を決めるのが良いでしょう。