60歳でフリーランスになること
起業前に考えるポイント
最近では定年を待たずにフリーランスで仕事をしたいという人が増えています。
50代主婦のDさんのご主人も50代のうちに準備をはじめ、60歳の定年時にフリーランスで仕事を開始したいそうです。
そこでフリーランスで仕事をするのにあたって、お金の面で会社員とは異なる点、気を付けたら良いかについてお話をさせていただきました。
60歳だからではなくて、40代、50代で起業する方にとってもフリーランス、つまり起業するにあたって何を準備すると良いのかは大切なポイントです。
起業において大切なことを3つまとめました。
起業時の社会保障について
まず知っておくべきことは、雇用される場合と非雇用、すなわち起業するとでは社会保障の点で明らかに違いがあるということです。
Dさんのご主人が60歳で起業することになった場合は、国民年金に加入する必要はなく国民健康保険だけの加入となります。
(注:今後年金制度が改訂になった場合は、国民年金の支払いも必要になる可能性があります。)
雇用保険も加入する必要はないので、社会保険料が安くなったと思うかもしれません。
もちろん40代、50代では国民年金に加入する必要があります。
その一方で60歳以降も会社員として勤める場合は、国民年金と厚生年金を支払い、会社が加入している健康保険料も納める代わりに、傷病手当金といったケガや病気の際の補償が得られたり、失業給付、介護休業給付、労災保険といったものも受けとることができます。
これらを考えると、病気やケガで万が一働けなくなった場合や仕事がなくなって収入が途絶えた場合にどうすればよいかを考え、対策を練る必要があります。
医療費をどのように補償していくか
病気やケガで数か月間働けなくなったと仮定した場合、起業をするタイミングで社会保障の分をカバーできるように、保険を見直すという方法があります。
この場合でも、すぐに保険を新しくするとか、保険に新たに加入しようと単純に考えるのではなくて、今加入している保険の補償金額や期間について確認することが先になります。
そのうえで足りない分を補足する必要があれば、保険を見直すと考えれば良いでしょう。
例えば、加入している保険ではがん保険も含めて保障が足りないというのであれば、保障について詳細に検討して必要な部分のみを加入するという選択肢もあります。
収入の補償
次に大切なことは起業時の収入の補償です。
万が一、ケガや入院時に収入が入ってこなくなった場合にそれをどのように補うかということも予め考えておく必要があります。その場合考えることは、貯蓄と所得補償のための保険です。
60歳以上の場合は、年金について考える必要もあります。
この方の場合は、厚生年金部分も含めて65歳から満額の年金を受け取ることができます。
あるいは在職中に加入していれば、60歳の時点で企業年金を受け取ることができます。
このように何歳でいくらの年金を受け取ることができるのかということ、年金以外にも満期の保険がいつ降りるのかといったことも調べた方が良いですね。
そのようなデータを基にして、起業によって得られる収入が少なくなった場合に、他の収入で補うことができるのかを考えていくと良いでしょう。
補うことが可能ならば、所得補償保険は必要がないかもしれません。
税金について
さらには税金の面ですが、会社員、起業時ともにそれぞれ対応する控除があります。
会社員の場合は給与所得控除がありますが、一定の年収以上となると控除額が一律となりますので、収入との兼ね合いで節税するということになります。
逆に起業した場合は、青色申告をし一定の条件を満たした場合には、最大で65万円の特別控除が受けられるなど節税の幅が大きいというメリットがあります。
そのような観点からすると、会社員を継続するよりも起業した方が税の優遇を受けやすいと言えますが、大切なことは様々な節税対策をすることによって節税の効果が大きくなるということです。
ですから起業にあたっては、会社員と比べて社会保障の面でのリスクをどのようにカバーし、税の優遇措置を活かしていかに所得を増やしていくかを前もって考えることをお勧めします。