経過措置を味方にしよう! インボイス制度への対応の仕方
インボイス制度について今までに2回お話ししました。
その際にインボイス制度にそのまま従うというよりは、あなたのビジネスの状況に応じて、シンプルに柔軟に対応しましょうとお伝えしました
例えば、取引先が適格請求書を発行する事業者だったとしたら、あなたがインボイスを発行する代わりに値引き対応するなどすれば、インボイスを発行する手間や税負担を軽減することも可能になります。
もちろんこれは取引先が同意してくれたらの話です。
そして今回のインボイス制度では、段階的にこの制度を取り入れてもらおうという導入時での経過措置があります。
この経過措置が認められている間にインボイス制度を導入することで、インボイスを発行する事業者になることも可能です。起業初期の個人事業主にとっては、しばらくの間はインボイスなしで対応し、経過措置の間にビジネスが上向きになればインボイス発行事業者になって消費税を払えばよいというように計画を立てることもできるでしょう。
この経過措置をうまく使えば、インボイスを発行する適格請求書発行事業者との取引もスムーズに対応できます。
起業初期の個人事業主が経過措置を賢く利用する方法についてお話しします。
経過措置とは
では具体的にインボイス制度の経過措置とは何でしょうか?
これはインボイス制度を導入してから6年の間は、仕入れ税額相当額の一定の割合を控除ができるとするものです。
前回お話ししたように、普通ならばインボイスを発行できない免税事業者から商品を仕入れた場合、その仕入れ額を消費税の計算に使うことができません。
しかし、この経過措置期間の中では仕入れ額の何割かを「仕入れ額」として控除することができるのです。こうすることで消費税の計算上では80%分の控除が認められるので、インボイス発行事業者にとっては負担が少なくなります。
このように何割までの控除が認められているのかという割合も期間によって定められています。それについては表にまとめましたので、下の表を参考にしてください。
経過措置の利用の仕方
ではこういった経過措置が認めれている状況で、起業初期段階の個人事業主はどのように対応すればよいのでしょうか?
以前もお話ししたように、このインボイス制度があなたのビジネスでどの程度影響するのかということを具体的に考えてみるのが大切です。
このインボイス制度は、取引先が適格請求書発行事業者である場合に適用となる制度です。
ビジネスでの取引先が免税事業者だったり、一般消費者の場合にも当てはまるというわけではありません。
そのうえで、適格請求書発行事業者との間での取引において、あなたがインボイスを発行しない場合に、どの程度取引先に負担をかけてしまうのかを考えてみましょう。
上の表①、②を見れば、それぞれの期間で取引先の負担の程度が分かると思います。
そしてこのことを踏まえて、取引先との間であなたが取引先の負担を軽減できないかを相談したり、対応策を考えるなどすればよいのです。
①の期間だと仕入れ額の80%まで仕入れ額控除ができるので、あなたが肩代わりする負担も100%分よりは軽くなります。
同じように②の期間でも取引先の負担をあなたの方で軽減させることができれば、すぐにインボイス制度を導入しなくても、取引先との関係を継続することが可能になります。
まとめ
このように経過措置を上手に利用することによって、慌ててインボイス制度を導入するとか、みやみに恐れることなく柔軟に対応することができるでしょう。
このような対応は、インボイス制度を導入した場合、あるいはしなかった場合で、ビジネスの売上や利益率、その後の資金力などビジネス全体の状況を判断したうえで可能になるものです。
そしてこの経過措置の間に売上が増えれば、あなたのビジネスにおいてもインボイス制度を導入することが容易になってくるでしょう。