暗号資産による投資が起業資金になりにくい3つの視点

暗号資産を利用した資金作り

最近世間をにぎわせている持続化給付金を悪用した詐欺ですが、これは不正に入手した公金を暗号資産(仮想通貨)に投資して儲けようとするものです。

そもそも暗号資産(仮想通貨)は将来大きく成長するとは言われているものの、それに精通している人でも投資が難しく、一般の人にとってはかなりのリスクがあるものになっています。

一部の人には魅力のある投資法で一獲千金を期待できるのかもしれません。

しかし一瞬でお金を失い墓穴を掘った人がいることも間違いではありません。

ですから将来起業をしたいと思う人にはこの方法による資金作りをお勧めはしません。

どのような点が難しく、それが起業する上での資金作りに向かない理由は何か、暗号資産(仮想通貨)での投資を考える上で知っておくべき3つの視点をお伝えします。

計画が立てられない(時間軸)

第一に、この投資方法ではいつ資金が確保できるかの計画が立てられません。

起業においてはどのようなことを事業にするかが最も大切なのは言うまでもありませんが、次に大切なのが資金の確保です。

その事業を立ち上げるのにいくらのお金が必要で、それがいつまでに必要なのかをはっきりさせる必要があります。

しかし、暗号資産(仮想通貨)による投資では、その資金がいつになったらできるのか、この計画を立てるのが非常に困難になります。

なぜなら、暗号資産(仮想通貨)による投資は先が読めるものではなく、かなりの偶発性によるものだからです。

もちろん投資がうまくいってお金が貯まったら、その時に起業をしようと考えることも可能ではあります。

しかし、それもいつかはわかりませんし、40代半ばで起業を目指してもこの投資法がうまくいって資金ができるのに5年、10年とかかるかもしれません。

あるいはそれ以上かもしれません。

今のような時間の流れが速い時代では、10年先のビジネスは今とは違っている可能性があります。

そうなると、せっかく計画したビジネスのチャンスが失われてしまうのです。

税金が高い(お金の軸)

起業をする上で必要になる資金作りですが、暗号資産(仮想通貨)による投資のデメリットは税制面で優遇されていないことです。

一般的に株や有価証券による投資法では、投資で得られた利益の20パーセント分が課税として徴収されます。

これは会社員としてもらう給与所得や起業で得られる事業所得とは別のくくりで、単独で利益に課税されます。

しかし、暗号資産(仮想通貨)による利益は、この給与所得や事業所得と合算して全体の所得を計算したうえでそこに課税されます。

日本は累進課税といって所得が高いほど税率が高くなる、課税大国とっても良いような国です。

例えば給与所得や事業所得が合算で500万円として、仮想通貨による利益が3500万円としたばあい、課税所得金額が4000万円になります。

この場合の所得税の税率が45パーセントです。これだけでもどれだけの税金が持っていかれるかがわかります。

また、課税所得が高いとそれだけ社会保険料や住民税も高くなります。

それを考えると、暗号資産(仮想通貨)による利益で事業資金を作ることが決して割の良い方法ではないことがわかります。

ですから投資によって事業資金を作る場合、いつまでに必要な資金を得るのかという時間軸という視点を大切にして、節税になる方法を利用するなど別の方法を考えるのが良いと思います。

市場の不安定さと商品のリスク(信頼性の軸)

またどの銘柄(商品や種類)を選んだらよいかという点もリスクになります。

市場全体の規模は大きく年々成長している市場ではありますが、どの銘柄が今後伸びて利益を得られるのかという予測もあくまで予測の域にすぎません。

しかしその予測も裏付けがないので、それをどこまで信頼してよいものかという信頼性に問題があります。

新しい市場で開発の途上にある商品であるからこそ、そこにリスクも同時に存在するのです。

銘柄自体が分裂するなど様々な変化を経ていくこともあり、こうなるといつの時点での何の銘柄が果たして最大の利益を得るのかということで予測を立て、資金の計画を立てていくのかは一層困難になります。

冒頭に述べたように時間的な予測が立てられない資金計画は、起業をする上で致命的にもなります。

信頼性が確保できない商品への投資は、それが失ってもよいお金で投資する分には別段構わないのですが、その場合は事業資金とは明確に分けて行う必要があります。

ですから起業を考える場合、無理のない範囲で着実に資金を確保できる方法を考えておく必要があるのです。