分骨証明書
分骨についてのトラブル
40代ともなると親や親戚との話を通じて、親戚筋の誰誰さんが亡くなったとか、友人や知り合いが亡くなったとか聞くことも増えてきます。
そして会話の中で分骨という言葉も聞かれるようになります。
よく聞く話と言えば、
親が急死して兄弟で誰が遺骨の管理をするかもめている、
兄弟やもう一方の親が墓守をすると言っているが、亡くなった親の遺骨は自分のところで引き取りたい、
遠いところに実家のお墓があるが、できれば遺骨の一部を家の近所のお寺に移したい、
兄弟が勝手に親の遺骨を分骨したと言っている、
兄弟で分骨するのは納得がいかない、
などなど。
ところでこの分骨ですが、分骨したいからと勝手にできるのかというと、そういうものではありません。
分骨したいと考える人は多いのですが、勝手に分骨を決めて実行するわけにはいかないのです。
ではなぜ勝手に分骨することはできないのか、分骨についての注意点と必要な書類について説明したいと思います。
分骨についての法律
そもそも分骨について法律ではどのように取り決められているのでしょうか。
分骨に関しての取り決めというのは、法律上では「墓地、埋葬等に関する法律施行規則」第5条というところで分骨に関する内容として定められています。
その詳細は次の通りです。
墓地、埋葬等に関する法律施行規則
墓地等の管理者は、他の墓地等に焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者の請求があつたときは、その焼骨の埋蔵又は収蔵の事実を証する書類を、これに交付しなければならない。
焼骨の分骨を埋蔵し、又はその収蔵を委託しようとする者は、墓地等の管理者に、前項に規定する書類を提出しなければならない。
( 墓地、埋葬等に関する法律施行規則 埋葬第5条)
この法律の中で述べられているのは、分骨した遺骨をお墓に納骨する場合の取り決めです。
具体的に言えば、分骨する遺骨をお墓に納骨するつもりの場合は、埋葬時に「分骨証明書」などの書類が必要になります。
分骨してもお墓に納骨せず手元供養するつもりであれば、書類は必要ありません。
ただし、一旦手元供養した遺骨をお墓に納骨する場合には、この証明書が必要になりますので注意が必要です。
分骨証明書
この分骨する遺骨は火葬場から持ってきた遺骨(の一部)であっても、元々別のお墓にあった遺骨(の一部)であっても、それを希望するお墓に納めようとした時に、そのお墓の管理者に証明書を出す必要があります。
分骨したいからと言って、火葬場から勝手に遺骨を持ってきて勝手にお墓にいれるのではだめなのです。
一般的に火葬した遺骨を分骨せずに納骨する場合には火葬許可書が必要になります。
そして遺骨を分骨し、その遺骨をお墓に納骨する場合に分骨証明書が必要なのです。
分骨を巡るトラブル(ある家族のケース)
このように分骨をし、お墓に納骨する場合には必ず必要になる分骨証明書ですが、この証明書が存在するかどうかで実際に分骨したかが判断できるということになるかもしれません。
ある家族のお話です。
故人の娘が故人の希望のとおりにお墓を継承し、そこに故人の遺骨を納骨しました。
ところが後日故人の身内が勝手に分骨をし、それを別のお墓に納骨しました。
そしてその身内が故人の親族に供養負担を要求するということが起きて親族間でのもめ事になり、最終的に家庭裁判所での決着となりました。
こういったことは法律では何もルールがなく取り決めもないので、親族間でのもめ事に発展しやすい例です。
ここでの問題は、誰が遺骨の管理責任者(注:祭祀者という)であって、それを親族を含め周囲の人に知らせていたかということです。
そしてもう一つ、分骨をした身内がそれに対して事前に親族に知らせ、最終的に親族間で了承されていたかということです。
分骨は関係者の話し合いが必要
ですから、分骨をする場合には必ず遺骨の所有者または管理責任者(注:祭祀者)の許可をとっておきましょう。
一般的に遺骨の管理責任者が遺骨の所有者になっていることが多いのですが、もしも別の親族が無断で分骨を進めようとすると親族間のトラブルに発展します。
ですからトラブルにならないように、もし分骨したい場合は事前に分骨したいという気持ちを伝え、それについて親族間で話し合いをし、了承を得ておくことのが良いのです。
なぜなら最悪の場合、親族間のもめ事となり親族間で弁護士を立てての決着や裁判へとつながることもあるからです。