法改正により金融サービスが一元化
2021年に金融関係で大きな法改正が行われます。
それは何かというと、「金融サービスの提供に関する法律」と「地銀合併についての特例法」です。
この「金融サービスの提供に関する法律」は、禁輸商品販売法の名称が変更されたものです。
そしてこの法律が制定されると同時に、金融サービス仲介業が創設され、2021年11月1日に施行される予定です。
ここでは、金融サービスの提供に関する法律についてお話したいと思います。
金融サービス提供に関する法律とは
この金融サービス提供に関する法律についてお話する前に、以前あった金融商品販売法について説明します。
金融商品販売法
金融商品販売法(平成13年施行 18年改正)は、幅広い金融商品の販売に関して損害賠償請求ができるとした法律です。
金融商品販売法を補佐する意味で、金融商品取引法というものがあります。
ここでいう金融商品とは、預貯金、定期積金、国債、地方債、社債、株式、投資信託、金銭信託、保険・共済、抵当証券、集団投資スキーム(ファンド)持分、様々なデリバティブ取引、有価証券オプション取引、海外商品先物取引などです。
そして、この金融商品販売法で大切なことは、販売業者が次のような行為に違反したことで私たちを含め消費者が損害を被った場合には、販売業者に損害賠償請求ができるという点です。実際の損害賠償請求に関しての問題が持ち上がった場合は、消費生活センター、国民生活センター、法テラス、弁護士会などへ相談することになります。
行為とは次のようなものを指します。
・契約内容のうち、特に重要な事項について販売業者に説明義務を課し、その違反により損害を被った場合
・販売業者に断定的判断の提供等を禁止し、その違反により損害を被った場合
(「知るぽると」日銀内の金融広報委員会作成より記事参照)
銀行、証券、保険の仲介は一元化
では、今回この金融商品販売法が 金融サービスの提供に関する法律 に変わったことで、その内容と私たち消費者へのメリットについてお話します。
今までは、銀行は銀行代理業者、証券会社は金融商品仲介業者、保険会社は保険募集人がサービスを提供するというように業務内容が縦割りとなっており、それぞれが別の法律で規制されていました。ところが 今回の法改正では、この縦割りがなくなりました。
銀行も証券も保険もまとめて 金融サービス仲介業者という括りになり、金融サービス仲介業者と認定されると銀行業務も金融商品仲介業も保険サービス業務も行えるというようになりました。
これによって私たち消費者にもたらされるメリットは、ワンストップで様々な種類の金融商品のサービスが利用できるようになるということです。
つまり、利用者にとって、 銀行、証券、保険という幅広い分野からニーズに合った商品やサービスを選択しやすくなり、利便性が増すことにもつながります。
利用者を保護するためのルール整備
また、これに伴い利用者保護のためのルールも整備されました。
その一つは、高度な説明を要するサービスが制限されたことです。
例えば、金融サービス仲介業で扱えるのが、普通預金、住宅ローン、国債、上場株式、投資信託、傷害保険、旅行保険などシンプルな商品が中心となります。
それ以外の仕組み預金や非上場株、デリバティブ、外貨建て保険などは取り扱いすることはできません。
また預金や売買代金などは、利用者と銀行や証券会社などが直接やり取りする仕組みをとり、金融サービス仲介業者による利用者財産の受け入れは禁止されています。
さらには、サービス提供に関するトラブルについての損害賠償請求に備え、保証金の供託義務が設けられました。
このことは、宅地建物取引業を行う際に 保証金の供託義務が設けられていることと同様のことを意味します。
この場合の保証金額は、1000万円に加え前年度の受領手数料収入の5%となっています。
このように金融サービスが法改正によって一元化されたことで、金融商品を比較しやすくなると思いますし、より顧客にとって良い選択ができる機会に恵まれると思います。
私の方でも多くの消費者の方がより良い選択ができるお役にたてるように、資産運用の話をしていきたいと思います。