50代のための夫の退職金活用マニュアル
新型コロナによる家計不安の増大
新型コロナウイルスの影響で収入が減ったことで、家計のやりくりに不安があるご家庭は約半数にも上ります。
その中でも50代の家庭にとっては、子供の教育費もまだかかるし、 住宅ローンの支払いも残っているし、夫が定年を迎えるまで数年先ということで、家計の問題が切実な悩みとなっています。
同じような悩みを持つ50代前半のBさんも、新型コロナウイルスの影響でご主人の給料の賞与が4割もカットになったことにショックを隠せません。
Bさんの下のお子さんはまだ高校生で、1年後に大学受験が控えています。他にも住宅ローンの残債が1500万円ほどあります。
こういった状況で、数年先にBさんのご主人が定年を迎えた時、退職金をどう活用したら老後も含めて今後の生活がうまくいくのか、考えてみたいと思います。
退職金の活用を考えるポイントとは?
退職金の活用を考えるにあたって、どこに判断の基準を置いたら良いでしょうか?
Bさんのご家庭を例にとって考えてみたいと思います。
Bさんのご主人の会社は60歳定年ですが、希望すれば65歳まで社会保険に加入して働くことができます。その場合、収入は現在の7割程度と減ることになります。
ご主人が60歳になる時には下のお子さんが大学に入学しますので、60歳で退職金を受け取った場合は、教育費の方にある程度充当させるか、住宅ローンの方にすべてをまわすか、選択をすることになります。
ここで考えるポイントは、65歳で継続勤務が終わった場合に住宅ローンを完済できるかどうかです。
もしご主人が65歳以降に別の働き方を選択しない場合、主な収入が年金になりますので、それ以降も住宅ローンが残っているようだと家計のバランスが悪化します。
ですから65歳で住宅ローンを完済できるように退職金の使い道を住宅ローンを主に考えた方が良いでしょう。
教育費をどう考えるか
教育費については保険や貯蓄などを主体に考えますが、保険や貯蓄で十分でない場合は受験校の選定、奨学金、学資ローンなど幾つかの方法の組み合わせで考えてみます。
Bさんはパートで年間に100万円ほどの収入があります。将来的には特技を生かして家で何かの収入を得られないかと考え中です。
また上のお子さんは既に会社員で独立しているそうです。
ですからBさんの収入を増やすというのもポイントの一つになるでしょう。
ここで収入が増えることによって、教育費の捻出やご主人が60歳以降収入が減ることへの影響を軽減することにも繋がるでしょう。
退職金は年金としても受け取りが可能
また60歳定年時に退職金を一括で受け取らず、年金として受け取る方法もあります。
この場合は、ご主人が65歳になったときに受け取る年金の額が65歳から10年間に亘り一気に増額します。
ですからこの間に住宅ローンを完済すると良いでしょう。
退職金を一括で受け取る場合と年金で受け取る場合とでは、額面上は年金で受け取った場合の方が大きくなります。
しかしこの場合は年金控除を差し引いて課税対象金額を計算し、税額を計算してから判断しましょう。
年金として受け取らず、退職金を一括で受け取る場合には、勤続年数から割り出した退職金控除が適用になります。
退職金で受け取る場合は特に問題ありませんが、年金で受け取る場合の税金と社会保険料の金額には注意を払った方が良いでしょう。