会社に残るか、退職をした方がよいか迷った場合
会社で早期退職希望者を募集
ある50代男性の会社員からご相談がありました。
会社の早期退職制度を利用して、退職し早めに第2の人生を迎えた方が良いのか、それとも今のまま会社に残るべきかのご相談です。
コロナによって会社の業績不振が続き、今年に入ってから50代以上の職員を対象に早期退職を募るようになったそうです。
早期退職をすると夏の賞与が支給されない代わりに退職金の上乗せが行われるそうです。
仕事上の悩にもありながら、退職したいという気持ちもあり、また子供の教育費もかかる中ではなかなか決断が下せません。
この場合、退職に関してどのような判断をしたらよいか、3つの視点から考えると良いと思います。
借入があるか
まず第1に、住宅ローンや車のローンといった借入があるかどうか、もしあるならば残りがどのくらいかという点です。
残金が多いならばそれをどうするか、仮に退職金でローンを完済したときにどの程度残金があるのかということも知っておいた方が良いでしょう。
ある程度の貯蓄があり、家に万が一というときのお金や、いざというときの医療費などにも十分に対応できるということであれば、その分リスクは軽減されます。
ローンを完済することができ、ある程度の貯蓄があれば早期退職を考える判断材料の一つになります。
退職後の生活でいざというときに対応できるお金がある程度見込めるという点がポイントです。
近日中に必要になるお金があるか
第2として、これから2~3年、場合によっては5年程度の短期間にまとまったお金が必要になるかという点をチェックする必要があります。
この場合一番に考えられるのが、子供の教育費です。
例えば子供がこれから高校に進学する、あるいは大学に進学する場合、まとまった教育費が必要になります。
入学金や授業料だけではなく、住まいの場所や受験する学校数などにもよりますが、受験料や受験に際しての交通費、宿泊費などもある程度かかりますので、そういった費用も含めて確保できているかを考えてみましょう。
教育費は確保できている、あるいはお子さんが成人している場合は、住宅のリフォームなど他にかける費用が発生しないかを考えてみましょう。
リフォームの場合は、家の体裁ではなくて、リフォームを先延ばしにすることで健康面や安全面に影響しないかという点で考えてみるのが良いと思います。
退職後の生活設計
3つ目のポイントは、早期退職後の生活設計がきちんとできているかです。
コロナが発生する以前と比較して50代後半の再就職は厳しくなっています。
男女含めた有効求人倍率も低下しています。このような状況から考えると、希望職種での再就職はもちろんのこと、職にありつけるかどうかについても容易ではない可能性があるということを頭にいれておきましょう。
例えば以前から誘われていた知り合いの会社に雇用されるとか、アルバイトなどである程度の収入が見込めるという場合や、副業程度に始めていた自身の仕事を本格的にやってみるなど、仕事や収入を得る目途があるのかどうかも、判断材料になると思います。
また同時にご家族、この場合は配偶者の収入状況も判断材料になります。
配偶者が継続的に一定の収入を得ている場合、その収入で家計のどの程度を負担できるのかということも考えてみると良いでしょう。
例えばご主人の再就職に伴って一時的に収入減もありますから、そのような時に配偶者の方で家計の一部を負担できるのかを考えるのも大切なことです。
また配偶者が専業主婦で収入の見込みがない場合は、専業主婦をやめて働きに出るや何らかの形で収入を得るとか、暮らし方を変えるなどの案も検討する必要があるでしょう。
一番大切なこと
早期退職を決断する際のポイントには上記のようなものが考えられますが、一番大切なことはご相談者本人がこの先どうしたいかという意思や考えを明確にすることです。
自分の気持ちを脇に置いてお金の面だけで考えると後悔する原因にもなりますから、先ずはご自身がどうしたいのか、ご自身の気持ちと向き合うことが一番大切です。
お金にじっくり取り組むことで、リスクを減らし安心して第2の人生に向き合うことができればよいと思います。